同人誌のテーマ「場所」について

   藤田です。動画でふざけたり2ちゃんで遊んだりしているだけではありません。ちゃんとまじめに同人誌を作っています。一部では「大物を呼べばいいと思っている」とか陰口を言われているが、そんなことはない。僕は僕なりの本気の問題意識で雑誌を作っているつもりです。
   僕と井上さんの共通テーマが「場所」になったのは、色々いきさつがありますが、僕自身が「SF」とか考える際に、北海道性にどうしてもぶつかるとずっと考えていたことと、井上さんもSFが好きであるという共通点と、速水さんの『ケータイ小説的。』が刺激を与えてくれたのでしょう、自然にテーマはそこに落ち着きました。『恋空』も佐藤友哉もSF作家の結構多くも北海道で、実は北海道は文学とかに結構影響を与えているのではないか? それは匿名性やヤンキーやロマン主義自然主義などの問題系への切り口にならないか? その意味で、これはやるべきテーマであると思い、「北海道」をいくつか扱いました。
   ただ、これだと「場所」の全体性が確保できない。設計主義のニュータウンで育ち、故郷を捨てた故郷喪失者である私と(地元で何もしてませんよ! というか、そういう「うわさになる」とか「いられない」とかそういう地縁すらないのですよ。その感覚からして違う)練馬で生まれ育ち練馬を愛し、「生まれた場所を愛するのは当然」と仰る井上さんとのこの感覚の違いからしてもう面白い。井上さんは井上さんでシークレットのすごいゲストと練馬対談をしますが、それはともかく、全体性を確保するために、名古屋、新宮、足立、サイバースペース、工業地域、聖地、渋谷、などなど、さまざまな方に「実感」レベルを含めて語ってもらおうという雑誌になっています。沖縄とか伊勢とかも本当は欲しいのですが、紙面の都合で入りません! Xamoschi2が出る機会があったらやりましょう。
   その「場所」で何を語りたいか。要するに、僕は、そこに生じる、地域共同体、地縁共同体、中間共同体、ヤンキー共同体、オタク共同体、ネット共同体、宗教的共同体の、問題と可能性を抉り出し、10年代をサヴァイブするために必要なヒントを提示しようと思っています。
   この展望から見えてくるであろう、さまざまな「想像力」を規定する「場所」自体の力と、生き残るためのヒント。なるべく多くの方に依頼したのは、僕自身の力では全体性を把握できないからです。答えも処方箋もヒントも僕は道筋を何も提示してはいない。むしろ、執筆者の方々から僕が学ばせていただきたい。そして読者の方にもなんらかのヒントや展望を得ていただければ嬉しいと思って編集しております。
   ほとんど実力の限界以上の力を出し、完全に赤字出しまくりで作っていますよ。そしてインタビューも4本中3本収録し、原稿依頼も終え、あとは我々の鬼門であるDTP作業をするのみ。原稿はまだいただいていませんが、「この方なら!」と思って依頼した方々なので、僕は心配していません。かなり充実した内容になることは確実なので、ご期待ください。DTPしくじらなければ、みなさんにお届けできるでしょう。僕も出来上がるのが楽しみです。